とんぼ玉の世界に「新しい風」
とんぼ玉職人、泉喜三郎は思い悩んでいました。
「本当に価値のある、これはというとんぼ玉を作って、世間をあっと言わせられないものか・・・」
それというのも、喜三郎は日ごろから、世間で売られていたとんぼ玉に不満を感じていたのです。
ニセモノ、粗悪品を売る業者は論外としても、比較的簡単につくれるようなとんぼ玉が多すぎる。
町で目にするのは、たくさん売りさばくために、大量生産ができる安易な技法でつくったとんぼ玉ばかりです。
これでは、とんぼ玉職人の地位はいつまでたっても上がってこない。
それに、消費者もいつまでたってもよいものを目にすることができないではないか。
日々悩んでいた泉喜三郎でしたが、ある日、彼は工房でひとつの決心をしました。
今までのとんぼ玉とは全く違う、高度な技法に挑戦しはじめたのです。
「なんとか、できないだろうか? オレが、泉喜三郎しかできないとんぼ玉を作って、世間をあっと言わせられないだろうか?」
彼が目をつけたのは、今までにあったとんぼ玉技法の中で、最も難度が高いといわれている技法「水中花」でした。
いちばんむつかしくて、数えるほどの職人しかできない技法でとんぼ玉を作ろう、そして、その技法をさらに進化させよう。
「風だ、とんぼ玉の世界に、あたらしい風を吹かせるのだ」
思いつめたら止まらない性格の喜三郎ですから、すぐに工房に入りびたりとなってとんぼ玉づくりに明け暮れる毎日となりました。
いくつもの失敗作が工房に積みあがり、ガラスが山となって今にも崩れそうになりかかったとき、喜三郎はひとつのとんぼ玉を完成させました。
「これだっ」
喜三郎はしたたり落ちる汗を拭くこともなく、出来上がったとんぼ玉を見つめていました。
特別なつぼみで作ったその水中花とんぼ玉は、花びらの先端が二つに分かれた、水中花を進化させたものでした。

「進化した水中花・・・、というよりは、まるで天空に咲く花のようではないか、
そうだ、この技法は『天空の花』と名づけよう」
その後も、喜三郎は技法の研究を続け、日々、技法を進化させながらとんぼ玉づくりをしています。
とんぼ玉の世界に新しい風を
泉喜三郎の願いを込めたとんぼ玉、その美しさは天空の花屋でお楽しみいただけます。











